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どうしようもなく、悲しいことがあったり。
とてつもなく、やりきれない気持ちになった時。
僕はよく散歩をする。


昨年の夏、殺人的に糞暑いさなか。
山手線のある駅で降りた。
父と母が、まだ新婚で、僕の年齢が一桁だった頃、住んでいた場所だった。


住んでいた家は、道路の拡張で跡方もないけれど。
駅前の漢方薬やには、猿の頭は無くなっていたが、猿のこしかけは売っていた。
裏道には、今では意味がわかる、怪しげな玩具屋(not子供用)や、休憩と書かれた看板がひしめき合い、何故か自販機には赤まむしドリンクが入っていた。


子供の頃、夏でもひんやりと暗い場所があり、赤と緑の綺麗な噴水があった。
”涼しくて綺麗な場所””昼間なのに夜”は、子供たちにとって大変魅力的で、いつもそこに雪崩こんでは、知らないおじさんに叱られていた。
「子供はこんな所で遊んではダメだよ」と。
今になって考えれば、そこはラブホテルの駐車場で、噴水が現存するかは、確認のしようはなかった。


学校の近くの駄菓子屋はピザ屋になっていて、豆腐屋は変わらず鎮座していた。
猿の石版(庚申塚)は、相変わらず排気ガスまみれで、交通事故を見ない、騒音を聞かない、排気ガスを吸わないに見えた。
子供の頃には、大きな川のように見えた道路は、案外ちっぽけで、巨大建造物だと思っていた建物も、普通の古ぼけたビルだった。


自分がガリバーになったような不思議な光景の中、幼い僕が駆けていった。
駅前の昭和の香りの喫茶店は、もうとっくになくなっていて、時間は流れるんだなあ。と、思った。


思い出の詰まった景色を客観的に眺めた時。
大人目線と子供目線の違いを知って、父はもういないのだと納得できた。
切ないけれど、懐かしい空気を吸い込んで、一周忌とやらを満喫した。
熱射病になりそこなった。









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